AIとは何か

AIとは人工知能のことをいいますが、実際にどういうものかということははっきりしていません。そこで、まずAIとは何かということを考えて、次に、実際のところAIが進化することで人間の仕事がAIに奪われるのではないかということをアメリカの研究者が研究結果として発表しています。そういうことは将来現実的にあるのか、そして、税理士の仕事がAIによって奪われてしまうのかということをご案内していきたいと思います。

では、AIと何かということですが、実はAI(人工知能)について厳密な定義というのは、定まっていないのです。その理由は、工知能研究者、研究機関によってその解釈や認識に多少のずれがあるからなのですが、ここであえて定義づけると、人工的に作られた人間のような知能ということが出来ます。

AIで人間の仕事は奪われるのか

このAIが更に進化して、人間の仕事は奪われてしまうだろうと言われています。実際にオズボーン博士はAIの進化で消える仕事として、レストランの案内係、カジノのディーラー、図書館員の補助員などは多岐に渡り、数十年後にはアメリカの労働者の半数がAIやコンピューターに仕事が奪われるのではないかと結論づけています。ちなみに税理士はこのオズボーン博士のリストには含まれてはいませんが、税務申告書作成代行業や簿記、会計、監査の事務員などはオズボーン博士のリストに入っていますし、このリストを見た有名コンサルタントは、税理士や公認会計士なども将来的にはAIに仕事を奪われる可能性は高いということを言っています。

確かに、ITがどんどん進化して、ソフトウェアやインターネットの性能がどんどん良くなっていくことで、会計業務や税務業務などはITがやってしまうようになってきていますよね。実際に税理士と顧問契約をする場合には、税理士が推奨するソフトウェアを導入することを強く進められることが多くあると思います。実際にクラウド系の会計システムだと、銀行口座やクレジットカードを登録するだけで、取引明細を全て自動取得して勘定科目なども提案してくれて、実に賢くなってきています。これはこれらのソフトウェア会社が、インターネットを活用することで、勘定科目の仕分けなどを自動化すれば、従来中小企業の経理業務などもデーターを入力するだけで対応することが出来るようになるということになり、決算書などは日々の売上や日々の経費の差し引きになりますから、顧問契約や別途決算書の作成や確定申告書の作成に費用のかかる税理士にお金を払う必要があるのかと言う意見があります。実際にバルト三国のうちエストニアはIT化が国家的なレベルで推進されているのですが、エストニアではクラウドコンピューティングシステムの出現によって、既に税理士が存在しないと言われています。もちろん、エストニアの場合は税理士が仕事を奪われたということではなく、エストニアにおける人口が少ないということもあり、効率化という観点から税理士の仕事をクラウドに任せたというのが実情です。

AIが発達すると税理士は不要?

このように、実際に税理士の業務はAIに奪われるような側面があるので、やはり将来的に税理士の仕事はなくなってしまうのでしょうか。こちらについては、様々な議論がありますが、いわゆる機械的な業務、例えばデーターの入力やそれらのデーターに基づく書類の作成などはAIでも問題はないと言えるでしょう。ただし、AIの作業のチェックは誰がするのかという問題もありますし、クライアントに対応した様々なソリューションというのは、やはりAIでは難しいところです。したがって、今後の将来の税理士については今まで以上に問題解決能力や提案力といったクライアントに対して濃密なコミュニケーション能力が求められる時代がきますので、しっかりスキルを向上していく必要があります。